1.企画主旨について
「若手まちづくりフォーラムinTokyo」は再開発事業等に携わる若手世代の交流による人脈形成を目的に、将来のまちづくりについての意見交換を行うイベントを毎年開催しています。 平成26年度は「同じ開発物件を視察し異業種の若手担当者らが、まちづくりについて何を考えたかを共有することによる視野の拡大」、「活発な議論による深い交流の醸成」を主眼に置き、昨年に引き続き、基調講演を含む全3回の継続型グループワークに加えて、御茶ノ水駅周辺エリア(ソラシティ、ワテラス)のまちづくりの現地視察会を企画しました。また任意参加の長岡市・新潟市のまちづくりの地方視察会を併せて実施しました。本企画の遂行にあたっては、多数の再開発事業に携わる方々のご協力を頂戴しました。
都市を取り巻く社会環境が大きく変化している今日、次代のまちづくりを担う若手担当者には、これまでの制度や手法だけではない柔軟な発想が求められています。そこで、普段組織や事務局内で実務に携わり、多忙な日々を送っている若手担当者に、日常の業務から頭を切り離し、『成長して自律した状態にあるまちの姿』について自由に語り合い、その上で、それを実現する為にどうするべきかをグループワークを通じて考える企画としました。
今回は34名の申し込みをいただき、各班10名程度(実行委員含む)の4班に分かれてグループワークを行いました。
【開催概要】メインテーマ「まちの自律を考える」
〜御茶ノ水駅周辺エリアの事例スタディを通して〜 |
【各回グループワークでの到達目標】
1.初回オリエンテーション:次回グループワークで話し合う方向性を決める。
2.中間発表:視察も活かしながら、「自律したまちとは○○である。」とタイトル付けする。
3.最終発表:前回設定したタイトルに合わせ、具体化する為の課題や施策、我々の役割をまとめる。 |
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〜各会終了後は、全体または班毎に懇親会を開催しました〜 |
2.基調講演会について
平成26年10月31日(金)に開催された第1回は、本フォーラムの初代実行委員で、現在も各地の再開発事業でご活躍されている三名の方を講師としてお招きし、「まちの自律を考える」をテーマとしてご講演頂きました
講師氏名 |
役職 |
松本久長様 |
新日鉄興和不動産株式会社 常務執行役員 ビル事業本部副本部長 |
古川靖史様 |
株式会社タカハ都市科学研究所 取締役 開発本部長 |
西村賢洋様 |
大成建設株式会社 都市開発本部 都市再開発第一部プロジェクトリーダー |
松本様からは芝浦工業大学の豊洲キャンパス移転を契機に進められた「芝浦ルネサイト」の開発概要と産官学が連携したエリアマネジメントの取組みについて、古川様からは足立区関原の防災街区整備事業の事例をとおして、木造密集地域の解消に向けた取組みの課題と展望について、西村様からは東五反田地区の街づくり事例をとおして、長期に渡る大規模都市開発の段階整備の進め方について、それぞれご講演頂きました。いずれの内容も御自身の経験に基づく大変示唆に富んだ内容で、グループワークで「まちの自律」を考えていく上で、多様な視点を与えて頂きました。
講演後は会場からの質疑に回答する形で、ディスカッションを行い、再開発を取り巻く事業環境の変化やコンサルタント、デベロッパー、ゼネコンといった各プレイヤーの役割とその連携の重要性等についてお話し頂きました。
その後、各グループに分かれ、基調講演を聞いての感想や参加者それぞれが考える「まちの自律」のイメージについて自由に議論を行いました。
基調講演講師として貴重なお話をいただきました松本様、古川様、西村様には心より御礼申し上げます。
3.御茶ノ水駅周辺エリア(ソラシティ・ワテラス)の視察会について
今回の視察会は平成26年11月14日(金)に行われ、「御茶ノ水ソラシティ」および「ワテラス(淡路町二丁目西部地区第一種市街地再開発事業)」を視察しました。テーマである「まちの自律を考える」を討議するにあたり、まちづくりを進める上で具体的にどのような取組が行われているのかを研究することがその主な目的でした。
当日は「御茶ノ水ソラシティ」については事業主や開発業務受託者として本事業を推進した大成建設都市開発本部の長谷川様より、「ワテラス」については参加組合員や事務局として本事業を推進した安田不動産開発事業本部の助川様より事業の概要についてご講演いただきました。
「まちの自律を考える」という非常に抽象的なテーマを議論するにあたり、主にまちづくりに貢献した内容やエリアマネジメントといった観点から開発の内容を講義いただき、単にハコモノを作るだけに留まらず、「まち」としての活性化を生み出すためにどういうことを行ったのか、あるいは行っているのかを中心に紹介いただきました。また、視察後にはグループワークを実施し、各班で事例を参考に活発な意見交換が行われました。
視察終了後は各班で懇親会を開催し、まちづくりに携わる若手同士として、情報交換や交流を深めました。
当日視察会の開催に際しご協力頂きました、大成建設の近藤様、大成有楽不動産の磯村様、安田不動産の永塚様、松本様には心より御礼申し上げます。
4.長岡市、新潟市のまちづくりの視察会について
今回事例視察は、平成27年2月6日(金)、新潟県長岡市と新潟市のまちづくりについて24名にて視察しました。
長岡市では、中心市街地整備室まちなか整備担当課長の韮沢様より、中心市街地の取組についてご説明いただき、ナカドマ(屋根付き広場)を中心にアリーナ、ホールなどの公会堂機能と市役所が一体となった「アオーレ長岡」や、子育て支援施設、まちなかキャンパスや長岡震災アーカイブセンターなどまちなか型の公共サービスが充実する「フェニックス大手」(大手通中央東、西地区市街地再開発事業)など、中心市街地を歩いて見学いたしました。まちなかの商業衰退で空洞化が進む中、市役所機能をまちなかに移転・分散配置するなど、市民活動を軸に賑わいを生む全国でも先進的な取組みを実際に学ぶことができ、とても貴重な経験となりました。
長岡の視察の後、新幹線にて新潟へ移動しました。新潟駅南口の一帯は、再開発により整備をされたエリアとなっており、その中で最も直近で整備されたLEXN(新潟駅南口第一地区第一種市街地再開発事業)を視察致しました。住宅棟は新潟を一望できる高層ビルであり、屋上から新潟の街の様子をうかがうことができました。また、業務棟、駐車場棟と分棟で整備されており、効率的な計画をしていることがわかりました。
その後、懇親会にて新潟の食を堪能しました。一部の有志は遅くまで新潟市の中心市街地である古町地区の風情ある飲食店街を探索したようです。また翌日は、有志により古町地区のまち歩きを行いました。
ご多忙の中、開催の手配等ご協力いただき、当日のご説明、また視察にご同行頂きました長岡市の韮沢様、大矢様、小柴様、本田様、新潟市の視察にご協力をいただきました大成有楽不動産の高橋様には、心より御礼申し上げます。
5.グループワークの進め方、各班の成果発表について
今年度の「まちの自律を考える」というテーマは、実行委員の中で、どのような業界の参加者でも、また再開発に関する知識が浅くとも議論に参加でき、かつ再開発に精通した参加者でも既成概念に捉われずに柔軟な発想で議論ができるようにと考え、あえて抽象的なテーマを設定しました。はじめは、この掴みどころのないテーマに戸惑う参加者が大半でしたが、同じ基調講演を聞き、同じ再開発で完成した建物を視察することによってグループワークが弾んできました。
最終回となった平成26年11月28日(金)のグループワーク終了後、各班からこれまで議論された内容について発表がありました。
また、各回実行委員のOBのみなさまもお越しいただきました。各回の発表時に講評いただきました、一般財団法人首都圏不燃建築公社の河野様、相鉄不動産の上石様、新日鉄興和不動産の飯田様、佐野都市・地域設計事務所の佐野様には心より御礼申し上げます。
実行委員(平成26年度) |
株式会社大林組 |
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上谷 孝介 |
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新日鉄興和不動産株式会社 |
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山下 恒 |
株式会社アール・アイ・エー |
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石原 久一郎 |
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三菱地所レジデンス株式会社 |
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加賀 貴史 |
東京ガス株式会社 |
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後藤 幹雄 |
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相鉄不動産株式会社 |
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永田 康太郎 |
前田建設工業株式会社 |
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春山 良平 |
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大成建設株式会社 |
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松橋 大作 |
株式会社タカハ都市科学研究所 |
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安留 瑞木 |
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株式会社日建設計 |
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山田 洋平 |
事務局 |
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東京ガス株式会社 |
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鈴木 暢恵 |
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